この事項は、就業規則に絶対に記載しなければなりません。
労働契約や労働時間など働き方に係るルールを整備する「労働基準法の一部を改正する法律」(平成15年法律第104号)が公布(平成16年1月1日施行)されました。この中で、就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」に「解雇の事由」を記載する必要があることが義務付けられました。
解雇(第18条の2)
『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする』
近年、解雇をめぐるトラブルが増大しており、その防止解決には、解雇に関する基本的なルールを明確にすることが必要となってきました。そこで、最高裁判決で確立していたものの、これまで労使当事者間に十分に周知されていなかった「解雇権濫用法理」が法律に明記されました。
※「解雇権濫用法理」とは、昭和50年の最高裁判決において示されたものです。この判決では「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる(最高裁第二小法廷昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決」と判示されています。
解雇理由の明示(第22条2項)
解雇をめぐるトラブルを未然に防止し迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇を予告された日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることとなりました。請求された場合には、使用者は遅滞なくこの証明書を交付しなければなりません。ただし、使用者は、解雇を予告された日以後に、労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。
(注)既に作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて、労働基準監督署へ届け出なければなりません。
この事項は、実施されている場合やこれから実施しようとする場合には、必ず記載しなければなりません。
使用者は以上の外、法令、公序良俗または労働協約に違反しない限り、いかなる事項についても自由に就業規則に定めることができます。