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契約は、双方の合意があれば、それだけで有効に成立します。「売ります」 「買います」という合意さえあればたちどころに売買契約は成立します(民法555条)。したがって、契約書がなければ契約は成立しないとか、契約の効力は発生しないということはありません。
“契約自由の原則”は近代市民法の主要な基本原則ですが、この原則には“契約締結方式の自由”、つまり、契約を締結する形式は各人の自由であり、どのようなものでもよいという原則がその中に含まれています。
契約は双方の合意で成立し、それだけで法律上の効力が発生しますから、あえて契約書を作成する必要はありませんが、もし相手が契約の存在を無視したり、契約どおり約束を実行してくれなかった場合、何らかの証拠を出して責任を追及しなけれならなくなります。こんなとき何より確実で、有力な決定的な証拠は『契約書』と言えます。
文書に記載した証拠は客観的に証明力が一段と高く、まして、これに署名押印した当事者は、後になってその存在や内容を争ったり、その効力を否定することはほとんど不可能といえます。このように契約書は、契約の成立とその契約の内容を立証する最有力な証拠文書として作成するものです。
単に契約書とするのではなく、売買契約書、金銭消費貸借契約書、建物賃貸借契約書などのように具体的に表示する必要があります。
印紙税法の定めに従い、不動産など譲渡に関する契約書、金銭消費貸借契約書など印紙を貼る必要があります。ただし法律行為の有効無効と印紙の有無は直接の関係はありません。また印紙には消印が必要です。
誰と誰の契約なのか、契約の効力の及ぶ権利者と義務者は誰と誰なのかを表示します。
前書きは当事者を示し、かつ契約の主たる目的、すなわち土地の売買とか、建物の賃借とかを表示しておきます。
金を貸したとか、いついくら返済するかなど、契約の目的を条文ごとに詳細に記載します。
契約書の体裁を整える意味と、契約書を何通作成したかを記載します。
絶対に必要な記載事項です。年月までではなく日まで記載します。
重要なのは、押印です。記名の場合には印鑑を押します。ワープロ等で打たれた文字は、誰が打っても同じなので印鑑によって補強させる意味合いがあります。署名の場合は押印が不要ですが、日本では印の欄のある書類に押印がなかったら、押し忘れを指摘されるほど、印鑑は重要視されますので、実務上の処理としては、たとえ署名であっても押印しましょう。
不動産の売買、貸借では、本文の最後に物件の明細を書きます。
下記の条項は、契約書の付随的な条項になりますが、当事者が履行しない場合に生きてくる重要な条項になります。
履行時期は、主として1回限りの売買契約などで必要です。存続期間は、継続的取引や賃貸借の場合必要です。
解除解約できる事由(契約不履行・破産申立など)を定めます。
損害倍賞については具体的に定めます。金銭の貸借では年率、日歩で定めます。
契約の当事者が個人会社などの場合には、代表者個人に連帯保証させることが必要です。
不動産、動産の売買の場合に見られる規定です。売買の目的物を買主に引き渡す前に、それが滅失したときは売主が損害を負担することになるのが一般的です。
売買契約で目的物に隠れた瑕疵があれば、売主に担保責任が生じます。この責任は民法に規定はありますが、契約で特約を定めることができます。
取引によってかかる諸費用はどのように負担するか、はっきりと定めておきます。
期限の利益とは、所定の期限までは履行しなくてもよいという債務者の利益のことです。金銭貸借や継続的取引の場合に絶対に必要なのが、期限の利益を喪失させる条項です。期限の利益の喪失事由としては、債務不履行・手形不渡り・破産の申立等があります。
規定外事項について、協議する旨の条項を入れます。
裁判管轄は、取引の相手が遠隔地の場合に、必ず定めておく必要があります。
金銭債務の履行を確保するためには、強制執行をする必要があります。公正証書で契約し、強制執行認諾約款をつければ、それがすぐに可能となります。